電力の撤退・倒産の理由は?

電力自由化が始まってから5年が経過したが、新電力会社の経営環境は厳しさを増している。帝国データバンクが2023年3月に発表した調査によると、2021年4月までに登録されていた新電力会社706社のうち、195社(構成比27.6%)が倒産や廃業、または電力事業の契約停止や撤退などを行ったことが分かった1。このうち、倒産は26社、撤退は57社、契約停止は112社に上る1。2022年3月末時点では累計31社だったが、1年で6.3倍に急増した。

新電力会社の多くは、自前の発電所を持たず大手電力会社や市場から電力を調達することで発送配電コストを圧縮し、割安な料金設定とすることで顧客を囲い込んできた。しかし、ウクライナ危機を受けた原油・液化天然ガス(LNG)の価格高騰も重なり、火力発電に頼る日本国内の電力需要が逼迫。今冬シーズン以降は電力調達コストが高止まりした状態が続き、新電力各社の経営を圧迫している。

日本卸売取引所(JEPX)のデータによると、2022年5月のシステムプライス平均は17円/kWhで、2022年3月の26円/kWhからは下がったものの、前年同月より2倍以上の高い水準で推移している1。一方、電力・ガス取引監視等委員会のデータから帝国データバンクが推計した2月の新電力における電力販売価格平均は供給1MWhあたり約2万900円と、前年同月の約1万6500円を上回り、2021年9月以降6カ月連続で増加している。

しかし、ほとんどの月ではコスト上昇分を吸収できておらず、1MWhあたり販売利益(電力販売価格-電力調達価格)は、2022年2月は295円と前年同月の9013円から97%減と急減した1。暖房需要などで電力需要が増した1月には1784円の赤字となり、調達価格が販売価格を上回る「逆ザヤ」状態になった1。家庭より安価に設定されている事業者向け特高・高圧分野では、すでに逆ザヤが常態化しているとされる。

このように、新電力会社は利益確保が困難な状況に陥っており、撤退や倒産を余儀なくされている。その影響は利用者にも及んでおり、「電力難民」と呼ばれる無契約状態となった企業や家庭も増えている。経済産業省によると、「電力難民」企業は2022年10月には4万5871件に急増し1、2023年3月は3万7873件まで減少したものの依然として高水準となっている。

新電力会社の撤退や倒産は、発送配電コストやエネルギー価格など日本国内外のさまざまな要因に左右される売電事業の限界を示していると言えるだろう。「割安な時期に参入し、高騰時に撤退するのは無責任」という不満も聞かれるが1、新電力会社も生き残りをかけて苦しい選択を迫られている現実がある。今後もエネルギー市場や政策環境の変化によって新旧電力会社の動向は注目される。

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